福岡市内の二つの保育園で、保育士たちが新型コロナウイルスの影響で不足している医療従事者向けのガウン作りを続けている。園児の登園自粛で手の空いた保育士が作業し、病院などに寄付している。
社会福祉法人「さわら福祉会」(西区)が運営する愛宕けいあい保育園(同)と大池けいあい保育園(南区)で、ともに今年4月開園。当初、愛宕は約40人、大池は約60人の園児が通う予定だったが、緊急事態宣言の発令を受けて市が保育園などの利用自粛を呼び掛けたことから、現在の利用はそれぞれ20人ほど。
保育士は、感染リスクを減らすために2班に分かれて交代で勤務。在宅勤務の日は、園児用の遊び道具作りや保育の研修をしていた。そうした中で、さわら福祉会が提携している村上華林堂病院(西区)から、医療用ガウン不足の情報が寄せられた。
ガウンは発熱症状など新型コロナの感染疑いがある患者を診察するたびに交換するが、全国的な品薄で入荷は限られる。同病院では、放射線技師が農業用ビニールを使った簡易ガウンの作り方を考え、空いたスタッフが作っていた。
「手作業の得意な保育士が協力できるのではないか」。事情を知った愛宕の赤星佐保園長(54)たちが両園の保育士に呼び掛け、4月下旬から保育のない時間にガウン作りを始めた。
まず、ビニールを縦1メートル40センチ、横1メートル80センチに切りそろえる。袖と後ろで結ぶひもの部分に切り込みを入れ、袖をテープで貼り付ければ完成。2時間程度の作業で、多ければ約100枚を作ることができるという。
ガウンの前側には、油性ペンで「いつもありがとう」「コロナに負けない」などとイラスト付きのメッセージが添えられている。「こういう大変なときこそ助け合いが大切。少しでも前向きになれるように書いています」と保育士の高木あゆみさん(20)。
ガウンを贈られた村上華林堂病院の北野晃祐事務部長(44)は「1日数十着は必要で、スタッフの負担も増していた。大変ありがたい」と話した。
(石田剛)
西日本新聞
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